“役に立てる人材”になりたい。5年のニート生活を経て、リスタートを切った舞台は夜の世界

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風俗が“ささやかな楽しみ”だった。多忙で負担の大きいハードワークを7年続けた末、休息期間へ

――これまでの経歴を教えてください。

高校卒業後、地元の愛知県にある企業で7年ほど働きました。
土地柄、自動車系の工場がたくさんあり、求人も車関係ばかり。仕事そのものに興味はなかったのですが、給料や高校のOBの評判なんかを聞いて、条件で就職先を決めたかたちです。ただ、配属先が大外れで……。

――といいますと?

一番工程が多くて複雑な業務を担う部署の所属になったんです。簡単に言うと車の部品をイチから製造するところですが、負担が大きかったんですよね。例えばショートケーキを作るとして、材料の下準備や生地づくりだけでなく、焼き時間の調整から焼成、生クリームのデコレーションまで担当する、みたいな。そのあとほかの部署が担当する工程は、いちごを載せたり薄い紙をつけたりといった単純な作業。どう考えても割に合わない(笑)。
それに製造ノルマも就業時間に見合わなかった。不具合も多いうえに、たとえ原因がわからなくても、ノルマを達成するためにはどうにかして直すしかないんですよ。だから残業もバリバリしていたし、土日休みのはずが「彼が土曜日出勤だから、君は日曜日ね」みたいなパターンも当たり前にあって。そのくせ給料はほかの部署と変わらない。まあ、その給料自体はよかったから続けられたんですが。

――ハードワークだったんですね。

はい。中でも一番つらかったのは交代制の働き方ですかね。早番と遅番があり、「今週は朝8時」「来週は夜8時から始業」といったかたちで、一週間ごとに生活サイクルが変わるんですよ。寝溜めしないと次の週がつらいから、せっかくの休日も「なるべく寝なきゃ」みたいな気持ちにもなるし。

――休みの日も出かけられず……。

あ、でもときどき先輩の誘いで風俗に行っていて、それがささやかな楽しみでした。先輩が「次はここ」と店を選び、一緒にはるばる大阪まで行ったりとか。

――風俗が息抜きに。その後退職を決めたのは?

シンプルに、つらさが限界に達したからですね(笑)。真面目に勤め続けていたものの最後は燃え尽きてしまい、退職後はしばらく働かずに過ごしていました。

 

自由気ままなニート暮らしの中、“憧れの地”北海道へ移住。5年を経て貯金が底を尽き、夜の世界へ

――北海道へはいつ来られたんですか?

1年間実家で気ままに過ごしたあと、札幌へ移りました。そして引き続き4年間、札幌で初の一人暮らしかつニート生活を満喫するという(笑)。

――いろいろと気になりますが(笑)、まずは札幌へ移住した理由を。

もともと北海道への憧れがあったんです。23歳のときに一度だけ旅行で訪れたことがありまして。自分は暑さが苦手で寒いところが好きなので、「過ごしやすくていいなあ」と。あと、虫がどうしても苦手なのも理由の一つです。ゴキブリが出ないなんてまさに理想の居住地(笑)。
ただ、田舎に行くと仕事の選択肢が少なそうだったから、就活を見越して都市部の札幌がいいかなと。

――なるほど。移住後すぐに再就職をしなかったのは?

貯金があったので、「しばらくは大丈夫だろう」と楽観視していた感じです。もう、ひたすら怠惰な日々を過ごしていました。お腹が空いたら起きて食べて、ネットで動画を見たりして、眠くなったらまた寝る、みたいな(笑)。
遠出することもほとんどなかったですね。来たばかりの頃は観光地へ行ったりもしましたが、北海道が思いのほか広くてあまり熱心に回りはしなかったんです。函館へ行くのに電車で片道3時間以上かかるって、愛知からだと東京に行くくらいの距離ですからね。

――愛知と北海道で計5年。ぶしつけですが、それだけの期間をニート暮らしできるほど貯金が……?

はい(笑)。でもさすがに底を尽き、最初は派遣のバイトを。荷物運びや引っ越しのような単発の仕事だったんですが、「この作業本当に大丈夫か?」「腰痛めそうだな」みたいな身体の使い方をする現場が多かったので、早々に見切りをつけて辞めました。
その後は安定した給料を求めて本格的に仕事を探し始め、風俗業界の求人を見つけた感じです。

――なぜこの業界に?

そもそも「思い切ってほかの業種をやってみよう」と思っていたんですよ。工場はもうこりごりでしたし(笑)。
で、最初は建築関係も考えたんですけど、冬場は雪の影響で他県に行かなければいけないのがネック。風俗ならもともと好きでもあったし、客としてスタッフと接していたので、全く知らない業種よりは「あんな感じかな」「こんな感じかな」という想像も多少はできた。それで「ひとまずやってみよう」と思ったんです。

 

初めての接客業で悪戦苦闘。それでも“役に立てる人材になりたい”と、ガムシャラに奮闘する日々

――最初から『ラブファクトリー』に?

そうですね。求人に「完全週休2日制」「完全未経験でもOK」と書かれており、今度こそしっかり休みを取りたかった自分にとっては再スタートを切りやすそうだなと。雪が降っても地下鉄で移動できるから、アクセス面も良好。店舗型だから送迎をすることもない。実は前に住んでいたところが運転の荒い車ばかりで、もう運転するのは嫌だったんですよ(笑)。
あとは面接で「ちゃんとした店」という印象を持てたのも決め手になりました。

――入ってみていかがでしたか?

まともに接客業をやるのは初めてだったので、最初は料金を間違えたり、キャストさんやお客様の顔を覚えられなかったりと苦労しました。
時間帯や曜日で料金が変わるうえに、クーポンの種類も多く、コースによって割引金額が異なりまして。お客様も、一気に5人くらい来店されると「あれ、誰がなんのコースだっけ?」と混乱してしまうことが多々ありましたね。

――どのように克服を?

仕事のできる先輩の対応をよく見てまねる、出勤前の空き時間に店のホームページを見て料金やクーポンの細かなルールを確認する、まずはその日に出勤する女の子をチェックして名前を覚える、などです。もともと人の顔を覚えるのが苦手なこともあり、そのあたりは慣れるまでに2、3カ月くらいかかってしまいましたが……。

――今後の課題は?

徐々に増えてきた担当業務を、いずれもしっかりこなせるようになれれば、と。
最近は撮影関連の業務を教わっているところで。女の子の撮影スケジュールの管理や衣装決め、撮影現場への同行などをやっていますが、複数人の予定が絡むスケジュール調整が一番むずかしいですね。
でも最終的にはすべての業務を覚え、「明日からこの担当ね」と言われてもバリバリできるようになりたい。だからガムシャラにがんばっていこうと思います。ここへ来てやっとリスタートできたので、店の役に立ちたいんですよ。

――では最後に、未来の後輩へメッセージを。

『ラブファクトリー』はしっかり休みが取れるしシフトの融通も効きやすく、メリハリのある生活を送れます。
それに自分のように接客業をやった経験がなくても、先輩スタッフが指導してくれますし、気になったことも聞きやすい環境だから、全然心配ないと思いますよ。
あとは今のところ自分が最年少なので、平均年齢を下げてくれる若い人が来てくれたらうれしいですね(笑)。

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